皆様、お久しぶりです。
今回は『天刑星』の前に完登したライン『旋(つむじ)』について、少し振り返って書き残しておこうと思います。ムーブ等のネタバレを含みますので、見たくない方は、ここでそっと閉じていただければ幸いです。
この『旋』というラインは、私自身の開拓史上でも理想の一本になったと感じています。
完登した瞬間は、「ついに自分の中で一つの基準だった『かつて初登したとある課題』を超えるようなラインを形にできたのではないか」と、久しぶりに武者震いするような興奮を覚えました。
ここでいう「理想の一本」とは、必ずしも自分にとっての最高難度(グレード)を更新したという意味ではありません。もちろんボルダーとして相応の強度は求めていますが、数字上の難しさ以上に、ラインの美しさやムーブの質において、これ以上ないほど納得のいくものが出来た、という意味です。
着手から完登までは約4ヶ月。家庭の事情で思うように岩場へ通えない時期もありましたが、その分、一回一回のトライに注ぐ集中力はかつてないほど高く、実質2ヶ月、日数にして10日ほどの濃密な時間をこのラインに捧げました。
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| 旋のスタートポジション |
ラインはルーフ内の左下からセパレートでスタートし、最終的には『天刑星』と同じラインに合流してルーフを抜けていきます。ルーフを抜けた後は直上せず、スラブ面を通って左側からトップアウトします。
合流後の動きは共通していますが、何と言っても自分の好きなムーブがすべて凝縮されているのが、このラインの最高なところです。開拓をしていて、ここまで自分の理想が完璧な形で揃うことは、そう滅多にありません。
私が開拓においていつも意識しているのは、ライン全体の「ムーブの再現難度」と「強度」の両立です。強度がしっかりあることはもちろん、「コツを掴んだとしてもなお、一筋縄ではいかない再現の難しさ」があるライン。
今回の『旋』は、まさにそのこだわりを突き詰めたような一本でした。
手数が多い『天刑星』も一つの完成形ではありますが、個人的には一手に全神経を集中させるような、手数の少ない凝縮されたスタイルが好みなので、今回のラインにはより一層の愛着を感じています。
岩と対峙している時間はいつも等しく充実していますが、この『旋』と向き合った時間は格別に幸せでした。結局のところ、自分はこういう純粋な時間を過ごすために登っているのだな、と改めて実感しています。
それではまた。

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